EX-ARM / HiRock / 古味慎也(1)、EX-VITAのパラレルワールドでオーバーテクノロジーEX-ARMを巡る戦い

EX-VITAのパラレルワールドで、上園美波とアンナは設定は同じままに登場する古味慎也先生のEX-ARM。原作のHiRock先生は前作のD'zでも原作を担当していました。一応リメイク作品という位置づけですが、主人公は違います。

物語の舞台は2030年の未来。主人公である夏目アキラが2014年に亡くなって、EX-ARMとして復活する1巻はまだまだ伏線を広げている段階といったところ。2030年の未来は、アンドロイドが実用化されて警察捜査に投入されています。

2014年、機械嫌いの高校生・夏目アキラは自分を変えたいと思い一歩を踏み出す。が、トラックに轢かれる──。そして2030年東京港湾部、未知の兵器『EX-ARM』取引現場に潜入した警察・上園美波とアンドロイド・アルマのコンビを『EX-ARM』No.08を装備した敵が襲う。彼女たちは起死回生を賭け、敵から奪った『EX-ARM』No.00を起動させるが…!?

1巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

2014年、機械を見るだけで吸い込まれそうになって気分が悪くなるという体質の夏目アキラは、その嫌いな機械の「悪いところがわかる」という特殊な才能を持っていました。しかし、それ以外はてんでダメ。兄の柊一(しゅういち)は東大でアンドロイドを研究しているという秀才。かつてはちょいポチャメガネでダメな感じでしたが努力して自分を変えたというアキラにとって手本となる人物。そんな兄を見習って自分も一歩踏み出そうと不良に絡まれている女の子を助けようとしたところでトラックに轢かれてしまいます。

場面は変わって2030年。港湾で未知の兵器『EX-ARM』取引現場に潜入した警察・上園美波とアンドロイド・アルマのコンビは、EX-ARMの入ったトランクをダッシュすることに成功。離脱すると同時に援護部隊が弾幕を張りますが、そのEX-ARMを装備した敵が出てきて戦況が一変。アルマと美波が追い詰められていきます。打ち込む銃弾が全て通過してしまい、敵の攻撃だけがこちらにあたり為すすべがありません。

美波は一か八かの大勝負でトランクを開けてEX-ARMをアルマと接続します。トランクの中身はチタン外殻の覆われた人間の生身の脳。その脳は夏目アキラのもので記憶は16年前のトラックに轢かれた瞬間で途切れていました。突然の目覚めで全く状況がつかめないアキラでしたが、美波と協力して敵のEX-ARMナンバリング8を倒すことに。

アキラの能力は接続されたあらゆるコンピュータをハッキングして支配下に置くこと。戦いの舞台である船を操作し、運動制御チップが破壊されたアルマの体も操作し、ナンバリング8の前方にしか透過できない弱点を看破して一見落着。警視庁EX-ARM対策課に引き取られたアキラは警察に協力することを強制されます。EX-ARMは出所が不明な、現在の科学ではとうてい実現できないようなテクノロジーが使用されており、警察も手をこまねいていました。

美波とアルマのコンビに加わるアキラ。都内では人間の体を爆弾に変えてテロを引き起こすEX-ARMによると思われる事件が起こっていました。捜査の途中で2014年から2030年までの間に起きたことを聞きます。10年前、オリンピックを目前に控えた2020年、すべてのEX-ARMが関わっているとされる大きな事件が起きていました。東京の総面積の17%を一瞬で消失させるほどの電磁パルスが発生し、死傷者・行方不明者200万人超の大惨事。東京には何もない巨大な穴が今も残っています。

アンドロイドが実用化した2030年の未来は柊一の研究の成果でしょうね。東京で起きた10年前の事件が、EX-ARMとの一次接触と語られることから、この兵器は人間が産み出したものではないんでしょうか。まだまだ伏線を広げる段階の1巻。