夢の雫、黄金の鳥籠 / 篠原千絵(7)、後宮を制し皇子を生んだヒュッレム、オスマン帝国に反旗を翻すアフメット

「夢の雫、黄金の鳥籠」は姉系プチコミックに連載されている篠原千絵先生のマンガ。オスマン帝国皇帝、スレイマン1世の后・ヒュッレムの生涯を描きます。

権謀術数が渦巻く後宮が舞台。後宮にいる女たちの序列は、ひとえに皇帝の寵愛を受けられるか否かにかかっています。皇帝から愛されるだけではダメで、皇子を産まなければ権力を得られません。更にいうと、最終的にその皇子が皇帝になれなければ他の兄弟はすべて殺されるという悲惨な運命が待っています。

スレイマンとイブラヒムは領土を広げるためにロードス島へ遠征。イブラヒムの働きにより屈強な守りを誇ったロードス島が墜ち、イスタンブルに凱旋したときには後宮でギュルバハルとヒュッレムの権力が逆転していました。

7巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

スレイマンとイブラヒムが留守にしている間、後宮では不穏な事件が続いていました。スレイマンたちが戻ってくる4か月ほど前まで物語は遡ります。

ギュルバハル付きの宦官ニザームが殺され、死体が東庭で発見されます。ヒュッレムは、自分を暗殺しようとした宦官が以前も殺されたことから、何者かが自分を守ろうとしていることを感じます。下女たちは、最近顔を出すようになったメフメトではないかと噂します。

皇太后に呼び出されたヒュッレムは「何をしてもいいが、うるさくするな」と言われます。明らかにヒュッレムが、敵対する人間を殺させていると確信している様子。しかし、ヒュッレムには心当たりがありません。

ギュルバハルも黙っていません。後宮監督官ザヒードに、自分とヒュッレムどちらにつくか選ぶよう迫ります。ザヒードがギュルバハル側に組することを選び、ヒュッレムから部屋を取り上げるパフォーマンスを見せます。次の日、首を吊って死んでいるザヒードが発見され、後宮内の後ろ盾を失ったギュルバハルは、息子のムスタファが暗殺されることを恐れます。その様子を見た侍女のファフラが、女だからこそヒュッレムに近づけることを利用して犯行を目撃されるのもいとわず単独で直接犯行に及ぼうとします。

ヒュッレムにナイフを刺そうとした刹那、そのナイフを持つ手を捕らえられ、自分の胸に突き立てられます。ヒュッレムを守ったのはしゃべれない宦官のシャフィークでした。これまでの暗殺も全部シャフィークの仕業。イブラヒムの命を受けて、ヒュッレムに危害お及ぼす人間を殺すことがシャフィークに役目でした。

後宮内の立場を不動のものとしたヒュッレムと呼応するかのように、武功を立てたイブラヒムは大宰相に任命されます。さらに、ヒュッレムが無事出産すると、生まれた子は皇子でした。

順調に見えたヒュッレムと、スレイマンの治世でしたが、7巻の最後で不穏な動きが見えます。イブラヒムの昇進によってエジプトに飛ばされたアフメットが謀反を企てます。

イブラヒムとヒュッレム、お互いの思いは一緒のようですが、皇子まで生まれて下賜されるルートがますます細くなったようです。駆け落ちを試みてイブラヒムが殺されてしまうフラグも見えますが、史実通りに進むならそれもなさそうな。