ひとつの事件が別の事件を呼び起こし芋づる式に掘り出される死体!死体!!死体!!!いったい何が起きているんだ!?油断大敵・貫井流ユーモア私立探偵小説。 (「BOOK」データベースより)
Amazonでの評価が極めて低い→ドミノ倒しということで、気になったので読んで見ました。実績のある作家ですし、文章も読みやすい。長年ミステリ界を支えてきた東京創元社から出てますし、それなりのクオリティはあるはずと考えたのです。そして、そこまで酷い内容なら何がどうなっているのかむしろ読んでみたい。
そして実際に読んでみたところ、私の感想も大半のamazonのレビューと同じでした。内容が薄く、ご都合展開が並び、肩透かしのラストにいたりました。数ある面白いミステリーを読み尽くして、1周まわって他のがほしい、という方にオススメです。そうでない方のためにざっくりストーリーを書いておきます。
あらすじ(ネタバレ注意)
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舞台は架空のちょい田舎である月影市。月影で探偵を営んでいる十村は、元婚約者の妹である友梨からある人物の無罪を証明して欲しいという依頼を受けます。十村は東京で暮らしていましたが、元婚約者の紗英をガンで亡くし、彼女の故郷である月影で探偵事務所を構えていました。
無罪を証明して欲しいというある人物とは、友梨の知り合いのコーです。月影氏にある山の中で女性の全裸死体が発見された事件で、その女性にストーカーをしていたコーに疑いがかかっていました。死亡推定時刻は7時から10時の間。コーには夜9時半まで友人たちと飲んでいたというアリバイがありました。飲んでいたので、そんな山の中まで車では行けない、というわけです。ですが、9時半以降に殺して後で死体だけ捨てに行けばいいので、全くアリバイは成立していない。それをおいておいても、コーは殺人など出来そうにない頭の弱そうな人物でした。
十村は、友人である警察署長に連絡を取ります。署長は東大卒のエリートキャリアで、たまたま現在は月影の警察署でお飾り署長をしていました。署長はおっとりしてますが、かなり明晰な人物。署長からの情報は、死体には特徴的な印があったということ、そして月影には未解決の殺人事件が多く、同じ印が残された殺人事件もあったという情報を得ます。印は体の一部にXの文字で傷が付けられていた、というもの。
同じ印をつけて殺されていた人物の名は大関。ひきこもりの男性でした。大関について調べると、ロリコンの危ない男性だったこと、3年前に起こった幼女殺人事件の容疑者だったことがわかります。ただ、手がかりは底で途切れています。
そうこうしていると、最初に殺された女性の幽霊をショッピングモールで見たという証言を得ます。ショッピングモールで張り込みをしていると、その幽霊を見つけました。話しかけると、殺された女性の双子の妹でした。幼い頃に離れて、苗字も違うために警察の捜査も及んでいませんでした。その妹によると、姉は結婚詐欺を働いて東京で悪さをして月影に戻ってきていたそうです。ただ、捜査が全く進展していないので、そっくりの自分が街中を歩けばなにか情報が得られるのではないか、と考えていました。
署長からは、新たな情報として、Xの文字に関連する他の殺人事件についても教えられます。小平という大学生が、練炭自殺して、側にはXが大きく書かれた開かれたノートが残されていました。この人物についても調べると、マルチで多くの女性を騙して儲けていた人物であることがわかります。
これら殺人の被害者はすべて、恨みを買うような行為をしていました。ただ、殺人の容疑者になりそうな人物にはすべてアリバイがありました。さらに調査を続けていると、車や自転車のタイヤをパンクさせられたり、脅迫電話がかかってきたりと妨害を受けます。極めつけは署長からの電話で、「逃げて!月影にいたら危ない」というメッセージ。そのメッセージから、十村は連続する殺人事件の裏にあるのは、法で裁けない悪人に対して月影の警察ぐるみの犯行であると推理します。
警察の網をかいくぐり月影から脱出しようとしますが、友梨達に遭遇し、会話しているときにコーが口を滑らせたことで全てが明るみに。連続殺人は警察だけではなく住民も含めて全員がグルでした。悪人に恨みを抱く人物に必ずアリバイができるように、全員で協力してドミノ倒しのように順に殺害を犯していました。
友梨が十村に依頼に来たのは、本来警察でもみ消せるはずのコーの事件が、キャリアのお飾り署長のチェックで難しくなったために、友人からの忠告で見逃させるためでした。元婚約者紗英の言葉「月影は怖いところだ」を思い出します。最後は、命からがら月影から脱出して終わり。
- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/06/21
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