ぼくらのふしだら / 大見武士(1)、時間を止める力を得た女子高生に襲いかかる重い対価

「月刊哀川編集長」大見武士先生がヤングキングアワーズGHで連載している「ぼくらのふしだら」。基本的にこのブログでは成人向けコミックは取り上げないんですけど、ものすごく面白い場合は別。

少年画報社のコミックス紹介では、

性欲暴走待ったナシ！抑圧に抑圧を重ねた結果、逆に歯止めが効かなくなった女子高生の「ふしだら」な毎日とは!?サスペンス×淫猥×思春期学園ストーリー！

となっていて、あんまりオススメできる感じじゃなさそうなんですが、読んでみるといい意味で期待を裏切られます。

1巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

女子高生の結城美菜実が生徒会副会長就任の挨拶を行うシーンから始まります。裏で陰口を言う人が居たり、先生を「怠慢教師」と心の中で罵っていたりするようですが、両親から捨てられた複雑な生い立ちゆえに周りから愛される資格を得るために「いい子」を演じています。

必死で勉強し、県下有数の進学校に進学、指定校推薦で大学に入るための内申アップを狙って生徒会に入るという優等生っぷり。鏑木信一はそんな美菜実の幼馴染で同じ高校に進学するも不登校になってしまった問題児。美菜実は先生から、信一を学校に投稿させてくるように言われています。「人の価値は学歴ではなく内面」と言う信一に猛反発する美菜実。

必死で勉強する美菜実ですが、実は抑えきれないほどの性欲を持つという一面が。どうしようもなく一人でする行為にふけっていると、白いスーツを来た謎の幽霊or男性or天使or悪魔？がベッドサイドに。「このままだと君は稀代の女強姦魔として名を残すことになる」と宣言。次の日、目が覚めると体に3桁の数字のアザがありました。

そこから美菜実の毎日が一変します。幽霊が美菜実に授けたのは「時間を止める力」。人一倍勉強や考えることに時間がかかってしまう美菜実が求めて止まなかった力です。その対価として力を使うほどアザの数字が上がっていきます。試験でもいくらでも問題に時間をかけられて、見直しもできるということで満足する解答ができるようになり、対人関係でも一度時を止めてから適切に回答する余裕が生まれます。しかし、対価の数字が意味するのは残酷なもの。美菜実がなくなってほしいと願う性欲が数値と共に極限まで高まっていき抑えられなくなります。

引きこもっている信一の部屋に行き、襲い掛かる美菜実。しかし、すんでのところで理性を保ちます。苦しむ美菜実を見て、行為はしないまでも慰める信一。信一は思うところがあったのか、学校に登校してきます。学校でも抑えられなくなった時は信一に手伝ってもらうことに。

これで順調な高校生活が送れるかと思えばそうは問屋がおろしませんでした。美菜実は先生から脅迫されます。答案容姿が一瞬で埋まるのを目撃されていました。時間を止める力を聞き出して、自分の欲望を満たそうとする淫行教師。1巻の最後は、その教師を殺してしまって邪悪な笑顔を見せる美菜実、というところで終わります。

ただの変態女子高生が、よくある時間停止モノを絡めた感じでアタフタするマンガかと思いきや、最後にサスペンスを持ってくるという展開が素晴らしい。ちょっとキツいシーンもあるのですが、このマンガはおすすめできます。