産休・育休や育児支援の制度が整って来たにも関わらず、総合職に就職した女性の多くが、出産もしくは育休後に会社をやめることになってしまう。いわゆるバリキャリと呼ばれる男性と遜色なくバリバリとキャリアを積んでいた女性たちでさえ。
15人の女性に丁寧にインタビューした上で、それぞれどのようなケースで、どうして辞めるに至るのか綿密に考察されています。男性比率の高い職場で、そこにいる男たちと同じように「女だから」という理由でサポートを受けることを潔しとせずに働いてきたのに、妊娠・出産・育児に直面するにあたって、まったくサポートが得られなくて子供のために退職せざるを得ない、と言った感じでしょうか。
今更私が内容をここで述べなくても、もっと実体験に基づいた秀逸なレビューを書かれている方もいます。本書は概ね女性もポジティブに受け止められる内容みたいですね。
Lilacさんは、東大・大学院博士課程を経てマッキンゼーで働くコンサルタントということで、キャリア的に見れば頂点をひた走っています。私はちょっと別の視点からレビュー。育休を取得した男性、という立場から思ったことをはっきり言っちゃうと、この問題を至って簡単な方法で解決できます、実践できるかどうかは別にして。
広告
そもそも問題設定がおかしいんですよ。男性と遜色なくバリバリ働きたいって表現がそこかしこに出てきますけど、バリバリ働く男性と同じようにしたいなら、配偶者を専業主夫にして育児を任せればいいんですよ。
わかっていて書いているのかいないのか知りませんけど、Lilacさんの職場の同僚男性の妻はほとんど専業主婦でしょ? 中野円佳さんがインタビューした人たちの同僚男性の妻ももちろんほとんど専業主婦でしょ? 夫婦二人ともがバリバリキャリアを積みながら育児も行うというモデルは、日本にはどこにもありませんよ。突き放しているわけではなく、キャリアを積みたい→夫にはキャリアを諦めてもらうという流れは妻が夫に変わっただけで「(これまでの)男性と遜色なく働く」というなら、そうするのが本筋でしょう。ちょっと強気で書いたのは、最近職場で、この本の事例にあるような例で同僚の女性が辞めることになったから。「夫に育児させろ、時短勤務させろ」なんて口が裂けても言えませんけどね。
ちなみにシンガポールでは、この問題を解決できたそうです。低賃金の移民という労力を使って。夫婦ともにバリバリキャリアを積みながら、低賃金の移民を使って保育させる、というスタイルが定着しています。持続可能性があるかどうかは知りません。少なくとも出生率は付いてきていないようですが。
人間ってサルの祖先だったときからずっと変わっていなくて、メスはより稼ぐ力の強いオスにしか惹かれないんですよね。つまりバリキャリ女性の配偶者はもっと稼ぐ人。キャリアをあきらめさせるなんてとんでもない。なんのことはなく、妊娠して育休に入る前から失敗しているんですよ、自分よりも稼ぐ男性を配偶者にした時点で。
「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)
- 作者: 中野円佳
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/09/17
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (16件) を見る
「育休世代」のジレンマ?女性活用はなぜ失敗するのか?? (光文社新書)
- 作者: 中野円佳
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/10/17
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
関連エントリ
広告