東京タラレバ娘 / 東村アキコ(1)-(3)、ひしひしと感じられる作者のアラサー女性に対する悪意

東村アキコ先生の最新作「東京タラレバ娘」。33歳未婚・実家暮らしの仲良し女子３人が、ドロヌマの恋愛に足を突っ込んだり、仕事で悩んだりしつつも、幸せな結婚を夢見るんだけど、回りの幸せな人間に対しては刺々しい嫉妬を向けてクダ巻いて女子会と称して愚痴る飲み会を繰り返す悲劇マンガ。

なぜかアラサー女子に大人気だとか。後書きや、このマンガを描くに至ったエピソードからヒシヒシと感じるのは、東村先生の回りにいるであろう、煮え切らない上から目線アラサー女子に対するイラつき。

toianna.hatenablog.com

外資系OLのトイアンナさんによる秀逸なレビュー。ただ私は「ざまぁ」なんて思いませんでしたし、私の回りにもそんな感想を持つ人はいなさそう。こんな自縄自縛で悲劇的な女の人いるの？って感じですが。

またまこの国のアラサーには「結婚したらアガリ」ゲームが2015年現在、流行っているだけ

いやいやそれはないでしょう。有史以来ずーっと流行ってますよ。幸せな結婚を必須アイテムにしているのは女性自身で、結婚によって経済的安定を得る女性が多数派で在り続ける限りこの悲劇は続きます。流行を終わらせようと思ったら、それこそ妊娠出産も含めて男の手を借りない経済的自立した女性や、男性を養って経済的安定をもたらすような女性が多数派にならないと。

3巻までのあらすじと感想(ネタバレ注意)

キャラクター紹介があらすじそのものなところがあるので、まずは各キャラクターがいかに痛いかから。

キャラ名	説明
倫子(33)	ドラマ脚本家。23歳の時に自分に告白してきた男が10年後いい男になってきて、ディナーに誘われてすわ告白かと思いきや、倫子の後輩(19)に告白したいという相談。その後輩は高校生の彼氏持ちで玉砕確実かと思いきや、なんと2人は付き合うことに。さらに、後輩が仕事の代役を引き受けたことをきっかけに才能を見出されて現在の仕事まで奪われていきどんどん崖っぷちに。
香(33)	ネイルサロンを経営しているネイリスト。かつて売れないバンドマンと付き合っていたが、結婚が見えないという事で分かれる。ひょんなことから、その元カレがBUNKEYSという超売れっ子バンドメンバーになっていることを知るも、その彼氏はすでにモデルの彼女持ち。しかし、元カレに迫られてセフレに。
小雪(33)	居酒屋の一人娘。その居酒屋は3人の女子会会場となっている。一番しっかりしているように見えたが、35歳のサラリーマンと不倫関係という一番痛い状態に陥る

狂言回し的に要所要所で登場するのがタラとレバの2匹、正論を吐く悪魔。このマンガを読むと女性がどういうポイントで精神をやられるのかよくわかります。

若い時はOKだったのに、年を取ってからだと痛々しいという年齢差別
別れた男がいい男になっている
自分から男に迫るのはみっともないと思っていてとてもじゃないけどできない、寄ってくるのは体目当ての男ばかり

これらが現実というか目に見える事実としてあるのがもう耐えられなくて女子会という名のただの飲み会に逃げるわけですね。後書きにモデルになった女性の名前が出てきてますけど、大丈夫なんでしょうか。東村先生は2回も結婚できてる恋愛における強者だからこそ描けるネタ。でもここに出てくる女性陣も仕事ができてオシャレなアラサーということで、その気になればすぐに結婚できそうだと思うんですが。

このマンガを読もうと思った直接のきっかけは別のマンガを読んだこと。

morning.moae.jp

よくこんなネタを思いつくな、というマンガ。要するに自分のアシスタントをしているいい年した男たちは、客観的に見るとマンガ家になる夢を見ているだけのどうしようもないダメ人間たち。こいつらとタラレバ娘をくっつけたら色々片付くんじゃないかという悪意しか見えない企画。

この先どうなるのか知りませんけど、アラサー女性からするとこの内容って屈辱的なんですよね。男と違って、自分よりも下(こういう考え方自体が失礼ですが)の男をパートナーにすることをこの上なく不幸に感じるという思考回路があるんで。どうでもいいところですが、「後ろのハンガーのほうがいけてる気がする」というところで吹き出しちゃいました。