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僕と日本が震えた日 / 鈴木みそ、等身大の東日本大震災ルポを4年たってから読んで考察

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僕と日本が震えた日

鈴木みそ先生が2011年3月11日に起こった東日本大震災をきっかけにして描いたルポマンガ。今から4年前になりますね。震災から1ヶ月たって自信に関することをマンガに。

震災直後ってギャグも笑えない空気でしたからね。本書の原稿料は全額義援金として被災地に贈られたそうです。私も震災直後は、会社が給料から天引きで義援金を送る仕組みを整えてくれたので、ほとんど手間をかけることなく社内イントラネットからポチポチとわずかながら義援金を送りました。本書を買って読む、という形でもよかったですね。今思えばマンガも読めて一石二鳥。

内容はというと、等身大の鈴木先生宅の地震直後の状況や、その後の取材が主。特に放射線関連は濃い。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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あの地震で被害を受けたのは、東北地方だけじゃありません。千葉では地盤の液状化が起こり、とてもではありませんが住めない家が続出。また歩くのも危ないという状況になっていました。鈴木先生の奥様は勤めている書道教室から交通機関で帰ることができずに16時間歩いて帰ったとか。娘さんはちょうどディズニーリゾートにいて、未曽有の事態にもテキパキと対応するディズニー運営に感動したとか。このあたりの生々しい描写を伝えるのに、文字だけと比べてマンガは強いです。

出版業界、研究施設が受けた被害も被災地とはちょっと違う側面で鈴木先生らしい取材ですね。再販制度をとる書籍が地震でダメになってしまったときに書店・出版社のどっちが被害を被るのか。

放射線関連が濃い、と書いたんですが震災直後はかなりメディアを通じて恐怖が増幅されていた印象があります。低線量被ばくを長期間続けた場合のデータってほとんど蓄積がないので、専門家でもはっきりとしたことは言えません。というか、ちゃんとした数値に基づいて語る専門家ほど歯切れが悪かった印象があります。ベクレルシーベルトといった単位は一般人にはどういう尺度なのかわかりませんし、どの程度なら危険なのかもわかりません。

バカ売れしたガイガーカウンターは、やっぱり評判は悪そうですね。食料の放射線をちゃんと測定するためには、完全に粉砕したうえで時間をかけて測定しないと正しい数値は出ません。ピッと当ててこんな高い数値が出ました、危険だ、なんてのは実際には何を図っているのかまるで不明とか。食料の放射線にしても、ヨウ素なのかセシウムなのかストロンチウムなのかで半減期が全く違う上に、半減期が長くても生理的に代謝されて体にほとんどとどまらなかったりする場合もあり、数値だけで語れるものではありません。ま、ヒステリックになるような汚染のある食料品はそもそも市場に流通しないので、結局ほとんどすべて安全なままだった、というのが4年たっての結論でしょうね。

大きな爪痕を残した自身ですが、原子力発電はどうなっていくんでしょう。私はおおむね原発を導入することに賛成で、昨今の太陽光バブルの方がダメだろうと感じている側。ですが、実際に近くで被害を受けた方からすると到底承服できないんでしょうね。

「復興」という言葉の下で行われる事業が、被災者と行政の間でズレている、というところが私には印象的でした。住んでいた人たちは「元の生活が戻ってくる」ことを想像し、行政は「新しく作り直したい」。そして、被災地の多くは、高齢者がほとんどで再興しても、発展は望めないので本音では移住してもらう方が望ましい。

単純に被害のひどさや、原発問題だけにフォーカスしない鈴木先生らしいマンガ。ただ、内容的にそんなに売れなかっただろうなあ。

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