西尾維新先生の能力バトル小説、挿絵は「聖☆おにいさん」の中村光先生。
干支の名を冠する12人の戦士たちが、「どんな願いでも、たった一つだけ叶えることができる」権利をかけて十二大戦と呼ばれる戦いに見を投じます。西尾維新先生が漫画原作を担当した読み切りシリーズの「大斬-オオギリ-」(タイトルは大喜利の読み替えですね)では、中村光先生がこの十二大戦の後日談「どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い」を描いています。発表されたのは読み切りのほうが先立ったんですけどね。
キャラクター紹介
キャラ名 | 説明 |
---|---|
異能肉(いのうしし) | 亥。表紙左側、両手に機関銃を持つ女性。能力は「湯水のごとく」 |
怒突(どつく) | 戌。以下、亥から順に反時計い回りに。 |
庭取(にわとり) | 酉。亥の下の白い顔で黒い毛の生えた戦士 |
砂粒(しゃりゅう) | 申。丑に並ぶ武力を持つ平和主義者 |
必爺(ひつじい) | 未。4回前の十二大戦勝者で、爆弾のエキスパート |
迂々真(ううま) | 午。最強の防御力を誇る肉体を持つ先生 |
断罪(たつみ)兄弟・弟 | 巳。十二大戦最初の犠牲者 |
断罪(たつみ)兄弟・兄 | 辰。「天の抑留」という能力の使い手 |
憂城(うさぎ) | 卯。十二大戦の台風の目となる「死体作り」能力者 |
妬良(とら) | 寅。強そうには見えない呑兵衛 |
失井(うしい) | 丑。優勝候補の歴戦の勇士 |
寝住(ねずみ) | 子。武力は弱いが「ねずみさん」という能力が超便利 |
あらすじと感想(ネタバレ注意)
亥の視点から始まる十二回目の十二大戦。亥の前代表が前回大会の優勝者で、ライバルとなりそうなのは丑くらいと豪語する女性戦士。最後に現れた亥が会場についてすぐに目にしたのは首を切られた死体。すぐにわかりますが、これは断罪兄弟・弟の死体。
戦士たちの前に審判役を務めるドゥデキャプルという老人が、十二大戦について説明。最初に黒い宝石を飲み込むよう指示され、その宝石について説明されます。勝利条件は各自が飲み込んだ宝石12個を集めること。宝石は胃酸と反応する毒になっていて、12時間以内に決着しなければ全員が死にます。
始まった時点で死んでいた断罪兄弟・弟の分の宝石は兄が持って行きます。開始とともに平和的に解決するための同士を募る未でしたが、亥が殺気を感じ取ったかと思うと床が崩れ落ちて全員が建物の下に落ちていきます。
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亥が着地した時には、他の戦士たちも散り散りになっていました。名乗りを挙げて亥に戦いを挑んできたのは武器の刃物を手にした卯。まっすぐ向かってくるところを機関銃で蜂の巣にしようとしますが、後ろから気配のなかった何者かに羽交い締めにされます。そして、卯の刃物がズブリ。亥の体の自由を奪ったのは断罪兄弟・弟の死体。卯は自分が殺した生き物の死体を操る「死体作り」の能力者でした。
ここで巳・亥が脱落。
戌は始まってすぐに集合場所から離脱し、見つかりにくい場所に見を隠します。戌の能力は毒を操ること。噛み付いた相手を毒殺することはもちろん、飲み込んだ黒い宝石の解毒薬を体内で調合するのもお手なもの。大戦終了間際まで隠れて全員が消耗するのを待ち、毒で弱ったところを最後にトドメを刺す戦略でした。
しかし、酉の戦士にすぐさま発見されます。「鵜の目鷹の目」という鳥を操って声を聞く能力の前では、その行動は丸見え。酉から卯の能力と勢力拡大がヤバいから手を組むことを提案され、それに乗った戌は酉にドーピング薬物を打ち込んで、卯に挑むようけしかけます。しかし、次の瞬間酉の裏切りにあい戌は命を落とします。情報収集能力を最大の武器にしている酉は、最初から戌にドーピングしてもらってから殺すつもりで狙いを定めていました。
巳・戌・亥が脱落。
自身の戦闘能力こそ低いものの酉を操る能力の効果は絶大で、卯に操られて単独で機関銃を手に獲物を探す亥のゾンビは、鳥の大群に死体をついばまれてあっという間に鳥葬。次のターゲットを探していると目にしたのが子。その子は、申との平和的解決に乗るならという事で、申のもとに連れていきます。案内されたのはマンホールをくぐった先の地下。鳥の目が届かないところでした。申ののんきすぎる申し出を聞き、毒気を抜かれる酉でしたが、その提案には乗れないということになり、戦うのではなくマンホール地下の隠れ場所を後にします。出てすぐに出逢ってしまったのが丑。ドーピング込みの酉の武力であっても、一瞬で決着が着くほどのサーベルの使い手でした。
巳・酉・戌・亥が脱落。
酉に提案を断られてしまった申と子が地上に出て対峙したのが、巳のゾンビを引き連れた卯。子と巳、申と卯の戦いに。といっても子は巳のゾンビを惹きつけながら逃げていきます。実は申は、今大会で丑に並ぶ実力者。卯の背後から必殺の一撃を叩きこもうとしますが、卯は後ろを見ることすらなく正確に刃物を突き立ててきます。申もまた卯が操るゾンビに。卯が戦いの達人とか言うことではなく、巳の死体の首を使っていました。巳の首の視界をそのまま共有できるという死体作りの反則じみた強さ。
巳・申・酉・戌・亥が脱落。
4回前の優勝者の未は「孫の顔が見たい」という願いを叶えた上で今回の大会にも参加しています。武器は相手を爆殺する特製の手榴弾。そんな未が目にしたのは、12人の顔ぶれの中でどうみても最弱クラスだった寅。戦う気もなく呑んだくれているように見えたその寅に一瞬にして引き裂かれて殺されます。寅は飲めば飲むほど強くなる酔拳の使い手でした。
巳・未・申・酉・戌・亥が脱落。
ここまで登場のない午でしたが、それもそのはず、大戦が始まってすぐに丑と戦うことになりボロボロにされたことで逃げ出していました。とはいってもそこはさすが、最強の肉体を持つ丑なので、傷は全て大したことはありません。ただ丑には絶対に勝てないと悟っただけ。逃げた先は銀行の金庫の中。勝負が終わるまで引きこもる予定でしたが、そこに子が姿を現します。巳のゾンビから逃げてここまで潜り込んできました。
巳は出落ちではありましたが、強力な火炎放射器を武器にしていました。銀行をその火力で焼き払います。最強の防御力を持つ午も、その火勢の前には無力ということで一酸化炭素中毒死。
巳・午・未・申・酉・戌・亥が脱落。
ここまで一切交戦のない辰。実はその能力「天の抑留」を使って、「鵜の目鷹の目」の効果範囲よりもさらに上空に浮遊していました。そこから戦況を観察。卯の能力が圧倒的で台風の目になりそうだと感じていました。地上では、子の姿を見失った巳のゾンビが、目にした参加者を殺そうと徘徊していました。見つかったのは寅と丑。どれだけ傷を追わせても動きを止めないゾンビに戸惑う2人に横槍をいれようとしますが、次の瞬間卯に発見されます。申の力で遙か上空まで打ち上げられた巳の首に見られ、戸惑っていると次は卯が申によって打ち上げられて刺殺されます。
辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥が脱落。
いなくなった子は置いておいて、勢力を拡大(辰・巳・申)した卯と、卯のゾンビに対抗するためだけに手を組んだ寅と丑の戦いに突入。断罪兄弟の武器である火炎放射器と氷冷放射器を利用してゾンビを葬る寅と丑でしたが、寅は丑をかばって卯の凶刃の前に倒れます。卯は丑に刺殺されたかに見えましたが、直前に自殺し自身に操られるゾンビに変貌していました。
寅・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥が脱落。
卯がゾンビとなっても戦うのは、ルールの穴とでもいうべき勝利条件に「生きていること」が問われていなかったことを突いてでした。永遠に動き続けるゾンビとなって宝石を回収すれば勝者となります。その丑と卯ゾンビをまとめて葬ったのは、未が残した手榴弾を手にした子でした。
子が優勝。そして、子の能力「ねずみさん」の正体が明かされます。確率世界へ干渉するという反則じみた力。簡単に言うと100通りのやり方を同時に試行できる能力。万能ではなく、どんな方法で告白しても好きな女の子にOKをもらえなかったり、という結果になることはあります。どう頑張っても勝てない相手には勝てないという力。ジャンケンはもちろん最強ですけどね。そして副作用として強い眠気にずっと襲われていました。あらゆる戦略を試して99回死んで、唯一生き残れたルートが本編だった、と明かされます。
後日談「どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い」は能力のこともタイトルに含めた、子が願いを叶える話ですね。十二回目の十二大戦で、前回優勝が亥、その4回前が未という干支のめぐりという事まで含めて予定調和の戦いでしたか。
- 作者: 西尾維新,中村光
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