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サユリ / 押切蓮介(1)(2)、怨霊に家族を殺されてボケた祖母が覚醒する傑作ホラー

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サユリ (2) (バーズコミックス)

「サユリ」はホラー漫画家押切蓮介先生がコミックバーズに連載していたマンガ。全2巻で完結。

呪われた家に引っ越した家族に降りかかるサユリという災厄の恐怖を描きます。2巻の構成で、1巻は家族が一人、また一人と命を落としていく恐怖感があり、正統派のホラーっぽさが出ていたのですが、2巻に入って超展開の押切先生らしさが見られます。

むしろ2巻の凄まじさをおぜん立てするための1巻だったと言えるかも。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

主人公の則雄は、高校受験を来年に控えた中学生。家族は父と母、姉と弟、父方の祖父母。父が別居していた祖父母と暮らすために、郊外の見晴らしのいい家を購入して引っ越します。

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念願のマイホームを手に入れた喜びを語る父親でしたが、一夜明けた朝に、布団の中で急死。死因は心筋梗塞。

父親が亡くなってから、姉の様子がおかしくなっていきます。部屋に閉じこもるようになり、則雄にこの家は呪われていると話しかけてきたおばさんには、金属バットで襲い掛かります。

霊感の強い則雄の同級生、住田奈緒は「女の霊が見える」といいます。弟の俊が失踪し、体調を崩していた祖父が退院して家に帰ってきた瞬間に心不全で死亡。姉は則雄の目の前で下をかみ切ったかと思うと、暴れだして外に飛び出して失踪します。母親は「もう疲れちゃった」と言い残して首吊り自殺。

次々に家族が亡くなっていき、ボケてしまった祖母と2人になったときに、家族に襲い掛かっていた恐怖の正体が則雄にも見えてきます。奇怪な笑い声をあげて、則雄の家族の死を笑う女の霊。ここまでが恐怖を煽る1巻。

女の霊に取り殺されそうになった則雄の意識を取り戻させたのは祖母でした。

「昭雄の遺影があるんだが・・・?」

「径子と俊は・・・なぜいない・・・」

「ウロウロウロウロしてる女が目につくと思ってたが・・・そいつが全部やったんか?」

とボケていた状態から覚醒。このままでいいんか、と則雄に言い、バリバリに家事をこなし始めます。命を濃くするんだと則雄を励まし、他の家族は弱っている心を突かれたから殺されたのだと言います。祓って済ませるだけでは、家族を殺された恨みが張らせないということで、霊へ復讐しようとする祖母

庭を掘ると、少女の骨が出てきます。一緒に出てきた生徒手帳に書かれていたのは九条小百合(くじょうサユリ)という名前。16歳で亡くなったことがわかります。名前を突き止められたときに、怒りの表情を見せるサユリの霊。

祖母が1日家を空けると言い、1人で一晩過ごすことになります。則雄を心配してやってきた奈緒と家にいると、案の定サユリが襲い掛かってきます。サユリの過去がフラッシュバックする則雄。サユリは、引きこもり続けていることを母になじられたときにバットで母に襲いかかり、止めようとした妹にまで暴力を振るっていました。妹に刃物で刺され、父によって絞殺されて死亡。死体を庭の片隅に自身の私物と一緒に埋められていました。

引っ越していったサユリの家族を追った祖母。3人を拘束し、拷問を加えて、自分たちの不始末のせいで悲惨な目に会った則雄家族への謝罪の言葉を吐かせていました。家族の愛に飢え、引きこもっているところを家族に殺された恨みを、幸せそうな家族に向けて発散するという子供じみた思想を蔑む祖母に、失踪させて殺した家族の死体を返すことで答えるサユリですが、祖母は止まりません。

自分の家族が痛めつけられる様子を見て縮んでいくサユリ。則雄がトドメを刺そうとしますが祖母が止め、則雄の家族の霊がサユリをどこかへ連れ去っていきます。

エピローグでは、再びボケた祖母と、祖母の言葉を受けて強く魂をきれいにして生きていくことを決めた則雄の姿がありました。家族全員が亡くなってハッピーエンドと言えるかどうかはわかりませんが、前向きに明日へ踏み出す描写で終わります。

1巻から2巻の落差、祖母の変貌で恐怖が恐怖でなくなる押切先生らしい展開でサクッと読ませる良作ホラーでした。

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