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民王 / 池井戸潤、内閣総理大臣がバカ息子と入れ替わっちゃった

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民王 (文春文庫)

池井戸潤先生のドタバタSF政治コメディ。タイトルは「たみおう」と読みます。半沢直樹とは違い、舞台は銀行ではなく国会。

謎のテロ組織の陰謀で、内閣総理大臣とドラ息子の人格が入れ替わってしまったことから起こるドタバタ劇を面白おかしく描きます。銀行を舞台にしたドラマは大成功して、銀行志望の学生が増えたそうですが、政治ドラマはヒットしても学生は政治の世界を志望しないでしょうね。有権者のほとんどがお年寄りですから。

話の展開ははっきり行ってバレバレなんですが、セリフ回しがテンポよくて小気味いい話です。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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現首相の田辺靖が突如辞意を表明したことで内閣総理大臣の座が転がり込んできた武藤泰山。辞めるときに田辺の「熟慮に熟慮を重ねた上での決意だ。田辺靖に二言はない」「嘘つけ、就任演説のときに誠心誠意職務を全うすると言ったくせに」といった感じ。

野党第一党代表の蔵本が質問してきた時に泰山の意識が遠くなり気づくと六本木のクラブにいました。息子の翔は六本木のクラブで誕生日パーティに出席していましたが気づくと国会に。

ごく一部の関係者にこの事実を知らせ、公安に捜査してもらいつつ、2人はそれぞれの仕事をこなします。しかし、さっぱりうまく行きません。翔は答弁として用意された紙の漢字が読めません。所存がトコロアリ、派遣はハヤリになっちゃいます。一方、泰山の方は息子の志望企業の面接に行きますが、偉そうな物言いでめちゃくちゃにしてしまいます。ダダ下がりになる支持率。

そうこうしているうちに、泰山は自分の周りを蔵本の秘書が嗅ぎまわっていることに気付きます。同級生のエリカを口説いてマンションに行くと、そこには件の秘書が。ここで明らかになるのが、野党党首の蔵本も娘と入れ替わっていたこと。ただし、娘の方は政治家志望で優秀だったため、まったくわからなかったんですね。

しかし、野党の議員にスキャンダルが発生して、こちらも支持率を落とします。その議員もまた誰かと入れ替わってスキャンダルをでっち上げられたかのようなことを口走っていました。

公安の操作が進み、人格が入れ替わったのは、CIAから盗み出された最先端技術によるものであることが判明。

漢字が読めない首相にスキャンダルが噴出した野党第一党、この状況で勢力を伸ばしてきたのが第三勢力の共和党です。共和党はアメリカの製薬会社から献金を受け取り、医薬品承認基準の緩和を公約に掲げていました。この製薬会社がCIAから技術を盗み出した犯人。そして、人格入れ替わりの黒幕は共和党党首の冬島。さらに、冬島に手を貸していたのが、翔とエリカの同級生である真衣。海外で認められている薬を使えずに、家族を亡くした過去を持っていました。

日本の製薬企業と厚労省の腐敗ぶりを見て、医薬品承認基準の緩和を法案として出すことを決意する翔と泰山。冬島は違法献金の件でやり込められます。結局はハッピーエンドかな。

人格入れ替わりの後、漢字が読めなかったり、しょうもない愛人スキャンダルで支持率が変わっちゃうという世論の性質をさりげなく馬鹿にしている点に好感がもてました。全体として読める作品ではありましたけど、他人に勧めるほどではありませんね。池井戸先生の作品であれば、他のを読んだほうがいいでしょう。

そう言えば、先の衆議院選挙菅直人元首相が小選挙区で落選して比例復活を果たしていましたね。「彼にだけは落ちて欲しい」と願う人はたくさんいるにも関わらず、こうやって当選できることに感動すら覚えます。民主主義の欠点の一つですね。マイナス投票制がいいとも思えませんが。源太郎君は今何してるんだろう。

民王 (文春文庫)

民王 (文春文庫)

民王

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