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少女不十分 / 西尾維新、書くのに10年かかった少女と僕の7日間の話

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少女不十分 (講談社ノベルス)

西尾維新先生が書くのに10年かかったと語る「少女不十分」。シリーズものが多い西尾維新先生の作品のなかでも、筆者の独白調でフィクションともノンフィクションともつかない物語にあとがきまで付くという一風変わった構成。

なんといっても目を引くのは物憂げにリコーダーを持って赤いランドセルを背負った小学生の表紙。表紙の碧風羽先生はFellows!の表紙で私の中で有名です。「僕」と「少女」の2人の奇妙な関係と起承転結の区切りがどこにあるともつかないフワフワした描写が展開されます。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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小説家として生計を立てるようになって10年、三十路になった「僕」はトラウマを衆目に晒す、と言い10年前のある一連の出来事について語り始めます。まず、この語りだしがなんとももどかしい感じで、なっかなか本編に入っていきません。

僕が作家を続けていられる、何よりの原因である、ほとんど唯一といってもいいトラウマ。(中略)縁起でも演出でもなく、本当に特別な出来事と言える事件が、ひとつだけあったのだ。僕の物語作りの基礎になる出来事が。

に始まってやっとかと思いきや・・・

・・・とは言え、最初にいくつかの前置きをしておかなければならない。もったいぶるわけではない、むしろ語ると決めた以上、さっさと語ってすっきりしてしまいたいのが僕の本音だ。(中略)つまり前置きは、必要だからする、それだけだ。

前置きするという前置きとは、またメタな。そして、

そして次なる前置きとして言っておくべきは、これは今まで僕が出版してもらってきたような、作り事の物語ではない。(中略)もちろん、作者の技量の未熟さも否定はしないけれど、現実がその通りなのだから、物語という点において、荒唐無稽だと非難されても、それは的外れだと言わざるを得ない。僕は現実にあったことを、そのまま書くだけなのだから。

このあともかなり長々と、なぜこの物語を書くのかについて語られます。とんでもない思い入れがあるのかと煽ってきて始まった物語は衝撃のシーンから始まります。

二十歳の青年だった僕が、交通事故で少女の体が四散するシーン。かなり凄惨な事故ですが、僕の気を惹いたのは、事故が起こるまでの一部始終。二人の女の子が並んで、ゲームをしながら歩いていて不注意で一人が交通事故で即死してしまうのですが、もう一人の子は事故が目の前に起こった後、冷静にゲームをセーブして電源を切ってから突如としてその瞬間惨劇が起こったかのように泣き始めます。あっけにとられる僕。

しばらくしてから、いつも通り自転車で走っていると、タイヤに棒状のものを差し込まれて転倒。一歩間違えれば大事故でしたが、なんとか事なきを得ます。その時には気づきませんでしたが、倒れた時にカバンから学生証と鍵を抜き取られていました。そしてタイヤに差し込まれたのはリコーダーだったことがわかります。

後日、鍵をなくしたことに気付いて、鍵屋さんを呼んで扉を開けてもらい自宅の賃貸アパートに入ると、少女が潜んでいました。交通事故の時にゲームの電源を冷静に落としていたあの少女。小刀を突きつけられて、少女の自宅まで一緒に歩いていくことに。「U・Uです」と自己紹介し、「あなたは私を見たから」「私を見たから連れていくんです」と言います。

そこから少女の自宅で監禁されることに。なんとも奇妙な同棲生活が始まります。広い一軒家に少女以外の気配がしない家。物置に閉じ込められはしますが、それ以上は何もされません。律儀に「おはようございます」「いってきます」と挨拶する少女。食事は学校から持って帰ってきた給食がそのまま与えられます。

脱出する方策はないかと物置の戸と格闘するとあっさりと持ち上げてレールから外せます。そのまま少女の家から帰ってもいいのに、トイレに行ったあと物置に戻って閉じ込められている状態に戻る僕。家の中をちょっと見渡すと、少女以外は誰もいない家で、シンクも完全に乾いていて誰も料理をした形跡すらありません。

言葉は交わさないまでも謎の信頼関係が築けてきて、給食だけではお腹が空くので一万円を少女に渡して買い物をしてきてもらったり。そして少女からは「臭い」と言われてお風呂に入ることに。お風呂で体を洗っていると、少女も裸になって入ってきます。その裸を見て何よりも驚いたのは、全身のあざ。はっきりと虐待の跡が見て取れます。

少女の机から、親に言われた「決まり事」が書かれた自由帳を見つけます。そこに書かれていたのは、「おはようございますということ」「いってきますということ」「いただきますということ」といた挨拶に始まり「テレビは一日一時間にすること」「自分の部屋は自分で掃除すること」といった文言が並び一つ一つは普通なんですが、その数が尋常ではありません。

「休日もいつも通りに起きること」「鍵をなくさないこと」「遊んだ時間の分だけ勉強をすること」「宿題をすること」「毎日お風呂に入ること」「人の話はしっかり聞くこと」「読みかけの本を出しっぱなしにしないこと」「ゲームをやりっぱなしにしないこと」「ペットの面倒をちゃんと見ること」・・・

そして少女の両親の寝室で、2人の死体を見つけます。キングサイズのベッドの上で互いの首を絞め合って死んでいる父と母。この監禁生活は、7日目に突如として当然のように終わりを迎えます。自宅に踏み込んできた警察。小刀を後ろから突きつけられて歩いていくところが何人かに目撃されていました。

エピローグで小説家になってからしばらくして、新担当の「夕暮誘(ゆうぐれゆう)」という名の女性に律儀にあいさつされる僕。というところでこの物語は終わります。西尾先生はこんな文体なんですね。実は掟上今日子シリーズを読むまでほとんど手に取ったことがなかったんですが、これからちょっとずつ読んでみます。

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