「天 天和通りの快男児」のスピンオフとして、登場人物の赤木しげるを取り上げたのが「アカギ 〜闇に降り立った天才〜」。天では伝説の雀士として描かれていました。スピンオフでは、裏社会で悪魔じみた強さで勝ち続けるアカギの姿が描かれています。
アカギの最大の敵として描かれているのが、戦後の日本を裏から支配し巨万の富を築いた闇の帝王である鷲巣巌。1965年8月の時点で75歳。鷲巣麻雀という独自ルールの麻雀で、命を賭けた若者が敗れ死に絶える様を見るのが趣味という鬼畜。天からアカギがスピンオフしただけでなく、アカギからも鷲巣がスピンオフして若い頃が描かれたマンガがあります。
鷲巣麻雀の主なルール
同種牌4牌中3牌がガラス牌
勝負は半荘6回。トップのアガリ止めあり
(致死量である)血液2000cc=2,000万円=2万点のレート。半荘終了ごとに清算となる。終了時それぞれ10-30の順位ウマと、トップにはオカとしてさらに2万点が加算。
生き残るか鷲巣の持ち金を全て奪えばアカギの勝ち。逆に言うと鷲巣の勝利条件はアカギを殺すこと。レートも加味して、一度でも順位で勝つかロンツモで20000点取るかのどちらかでアカギは死にます。
鷲巣麻雀の歴史
57話がちょうど20年前の1996年!に始まって、
連載年 | 収録話 | 内容 |
---|---|---|
1996 | 57話 | ニセアカギ死体で発見 |
1997 | 58話~69話 | 倉田組でサイコロしてから鷲巣邸へ |
1998 | 70話~81話 | 1回戦 |
1999 | 82話~93話 | 2回戦 |
2000 | 94話~95話 | 3回戦~4回戦(休載期間あり) |
2001 | 96話~108話 | 3回戦~4回戦 |
2002 | 109話~123話 | 5回戦 東1局~東4局 |
2003 | 124話~135話 | 5回戦 南1局~南4局5本場 |
2004 | 136話~147話 | 5回戦 南4局5本場、6回戦 東1局~東3局 |
2005 | 148話~159話 | 6回戦 東3局 |
2006 | 160話~171話 | 6回戦 東3局2本場~東4局 |
2007 | 172話~183話 | 6回戦 東4局~南1局 |
2008 | 184話~195話 | 6回戦 南1局~南1局3本場 |
2009 | 196話~207話 | 6回戦 南1局3・4本場~南2局 |
2010 | 208話~219話 | 6回戦 南2局ドラ引き~南3局 |
2011 | 220話~231話 | 6回戦 南3局 |
2012 | 232話~243話 | 6回戦 南3局 |
2013 | 244話~255話 | 地獄編 |
2014 | 256話~267話 | 6回戦 南4局配牌編 |
2015 | 268話~279話 | 6回戦 南4局闘牌編 |
2016 | 280話~ | 6回戦 南4局闘牌編 |
20年かけて全6回戦の最終局へ。
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言うまでもないことですが、「天」にアカギが登場している時点でこの戦いはアカギが勝利しているであろうことは自明。アカギがどうやって巨額の資金と豪運を持つ鷲巣を倒すかが焦点でした。
アカギの超人的な洞察力と、巧妙な誘導、常軌を逸した打ち筋で勝っているように見えるんですが、通して読むと鷲巣はその場その場で勝利条件を見落としていることに気付かされます。
鷲巣の勝利条件はアカギを絶命させること。絶命させるためには、一度でも順位で勝つか、ロンツモで20000点取るだけでO.K.です。アカギは、最初から無理やり増血してフラフラの状態で挑んでいたことが後に明らかになりましたが、この条件はずっと揺らいでいません。
1回戦では、勝利条件を満たすための基本に忠実に打ち、結果として負けてもそれが麻雀だと納得しているんですが、徐々に壊れていってます。
特徴的なのは、第5戦でメンタンピン三色イーペーコーに一発で振り込んで、裏が1枚乗って倍満になったシーン。怒りで勝利条件を見失っての暴発とはいえ、通常であればあり得ないうち回し。アカギがすごいのではなく、鷲巣がミスしています。そのミスを誘う点でアカギがすごいと言えるのかもしれませんが。
第6戦でも、アカギが七対子で黒牌単騎待ちだと思い込んでしまって、2s振り込み。アカギの当たり牌さえ避ければ、勝利なんだから冷静に可能性だけつぶせばよかったんですけどね。
アカギが正解の手を打ち続けているというよりも、巧妙なうち回しで常に鷲巣のミスを誘い続けて第6戦まで来ました。大きい手が入ると、どうしても打点を高くしてその局で殺しきらなくてはダメだという妄想にとりつかれるんですが、第1戦のうち回しをずっと続けていれば余裕の勝利でした。ここまでで、アカギがどうやって鷲巣に勝利したかの過程もほぼ明かし終えたと言っていいでしょう。
第6戦で鷲巣も血を抜き始めると、引き延ばしが凄まじいことになってきます。金の盾を失い、リスクの判断もできなくなり、鷲巣の敗色濃厚なんですが、なんとか見せ場を作ろうという意図が見えます。2013年の地獄編ってのは、血を抜かれて涅槃を彷徨った鷲巣が、地獄の鬼を制して意識を取り戻すまで。さらに、2014年の配牌編では1年かけて、牌を1枚ずつ引くだけ。その配牌編が丸々31巻になっています。
結末の明らかなマンガでここまで引っ張るか、という感じですね。オーラスまで来たならサクッと終わらせて、次なる相手との対決に進んでもいいと思うんですが。
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