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明智警部の事件簿 / 佐藤友生(5)、警察の暗部への疑念を深める明智、本編の孤独な警視姿へとつながる最終巻

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明智警部の事件簿(5) (週刊少年マガジンコミックス)

金田一少年の事件簿のスピンオフ。主人公は若かりし頃の明智警視、スピンオフではタイトルにもあるように警部です。完全無欠のエリートとしての活躍が描かれます。

「五里霧中の密告者」のこれまでのあらすじ

小林が碓氷という同期刑事と呑んでいると殺人事件に遭遇します。居酒屋で米沢という男が死んでおり、すでに会計を済ませて店の外に出た同席者の「黒いコート、黒い帽子」の人物を小林が追いかけます。店の外でそれらしい女性を見つけるも取り逃がしてしまいました。

女性がバッグを残していたことから、すぐに身元が分かり、杉田という泥酔の常習犯だったことがわかります。死んでいた米沢は、2週間前路上で喧嘩の末に亡くなっていた男の被疑者でした。

5巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

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五里霧中の密告者

4巻の最後で描かれていた通り、警察署の駐車場で杉田の死体が発見されます。傍らには、打ち捨てられて水のたまった傘。

2週間前から警察署周辺に不審者が出ているという情報も出てきますが、明智はその不審者は十中八九犯人ではないと断言します。明智は、ライターの杉田に情報を流していた刑事が音羽署におり、その刑事が杉田を殺したのではないかと疑っていました。

不審者の正体は、人事一課の刑事でした。明智がその刑事と情報交換したときに、杉田に内部情報を漏らしていた人物が確実にいたことが伝えられます。

泥酔で警察署に運び込まれる常連で、杉田のほかに滝沢という人物の名前を見た時に「謎はすべて解けました」と話す明智。

杉谷に情報を漏らし、殺害した犯人は保護室と呼ばれる酔っぱらいを保護する部屋を担当していた佐々木。佐々木は動機である碓氷から得た情報を杉田に漏らしていました。ある日、ホームレスだった滝沢という男が運び込まれたときに、何らかの弾みで殺してしまい、現場を見られた杉田に死体の隠ぺいを持ち掛けられ、それに乗った佐々木。その日から、杉田にゆすられるようになったのが動機でした。

警察から得た情報で米沢に探りを入れていたときに、もみあいになって殺してしまった杉田は、自分を匿わせるために佐々木のいる警察署に行きました。しかし、逆に保護室で佐々木に殺され、傘に水を溜めて外で殺されたように偽装されたというのが真相。

もみあいで転んだ表紙に頭を打って2人も死ぬってのが出来すぎな気もしますね。

正義の御名下に

明智の父の動機である刑事部長が狙撃されるという事件が発生。刑事部長の家には、「正義を標榜して暴虐の限りを尽くす警察組織」と呼んで、警察へ天罰が下るだろうという意の脅迫状が届けられていました。

捜査が公安主導となり、明智たちは捜査に加われません。小林とともに独自に捜査を開始する明智。狙撃された刑事部長のあずかり知らないところで、上層部の命令で警備が増強されていたことを知ります。

刑事部長の行動を洗っていた明智たちは、ある人物の墓参りを頻繁にしていたことに注目。その人物とは2年前にひき逃げで死んだ公安部長。その公安部長のひき逃げは不自然な形で操作が打ち切られていました。公安部長が死の前にやろうとしていたのが、公安の裏金作りのリーク。

明智は、刑事部長が公安部長の死の真相に気付くも、告発するではなく墓参りするだけだったことに怒った人物が狙撃したのだと推理します。真犯人は明智の父の動機で元警視庁人事部長の藤原玄道という男。藤原に賛同していた警備についていた警察官たちが狙撃の実行犯でした。

藤原を逮捕すれば、すべての警察の暗部が明らかにされることを恐れた上層部が、この事件の真相をうやむやにするために公安部主導で操作させていました。藤原を逮捕しようとする明智ですが、警察に正義があるならなぜ一人で来たのかと問われ返すことができません。うなだれる明智の応援に駆け付ける小林たち。小林たちは、聡明な明智なら一人で真相に辿り着いているはずと信じて、明智のPCの履歴を追いかけて藤原の家に到着します。

藤原を逮捕すれば皆のキャリアが終わってしまう、ということを考えて仲間を頼れなかった明智。警察の暗部を見て、仲間を巻き込んでしまったことを悔い、誰にも頼らないことを誓う明智。

4巻から5巻にかけて、いずれも真犯人は警察関係者だった、というエピソードでした。

マガスペが無くなってしまうので、連載を続けるという選択肢がなかったのは残念ですが、この終わり方はすごくいいですね。バッドエンディングですが、正義を貫きつつも、警察の暗部を描いたことや仲間を危険にさらしたことで、本編に登場する明智警視に変わっていったのだということがわかります。

金田一たちと出会い、かつての自分を取り戻していって冷静沈着で完全無欠の明智に戻ったのだと思うと、現在本編に登場する明智と繋がります。

明智警部の事件簿(5)<完> (講談社コミックス)

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明智警部の事件簿(5) (週刊少年マガジンコミックス)

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