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掟上今日子の推薦文 / 西尾維新、芸術作品を巡る事件や謎を最速で解決、あらすじと感想

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掟上今日子の推薦文 (講談社BOX)

「掟上今日子の備忘録」は「化物語」の西尾維新先生が描く探偵モノ。西尾先生の作品で初となる実写でのドラマ化が決まっている作品。

最速の探偵・忘却探偵といった称号を持つ探偵掟上今日子の活躍を描きます。「掟上今日子の備忘録」に続く第二作目。

キャラクター紹介

キャラ名 説明
掟上今日子 最速の探偵。前向性健忘の一種で、寝ると1日ごとに記憶がリセットされてしまう性質を持つ。そのため、あらゆる機密事項も忘却することから重宝されている。そして1日で終わる探偵仕事しかできない
親切守(おやぎりまもる) 美術館の警備員
剝井陸 美術館を訪れた子供
和久井翁 美術館を訪れたお爺さん

1作目の隠館厄介は登場しません。三章からなりますが、全ての話は繋がっています。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

鑑定する今日子さん

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大学を卒業して大手警備会社に就職した親切守は、とある美術館で警備を行う毎日。

その美術館にはいつもひとつの絵を一時間もかけてじっくりと眺めていく女性が来ていました。総白髪の二十代半ばの女性。その女性にある日話しかけた親切は、いつも見ている絵がどう素晴らしいのか教えてもらおうとします。その女性、掟上今日子さんなわけですけど、毎日同じ絵を見るのはもちろん1日で記憶がリセットされるから。しかし、このときに親切はそんな事知る由もありません。今日子さんの回答はシンプルで「この絵に2億円もの価値があるから」、2億もの価値を生み出す絵ということで真剣に見ていました。

ところが、ある日それまで真剣に見ていた今日子さんが、その絵を一瞥するとさっさと通り過ぎていきます。驚いて話しかけると「この絵が2億?、200万円程度でしょう」と冷たい態度。理由を聞くと「私がこの絵を2億円と言ったのは事実なんでしょう。でも今は200万円」と言って理由は教えてもらえず掟上事務所の名刺をもらいます。

その後、その絵を見にきた特徴的なお客さんが2人。1人目は剝井陸という天才画家の卵。美術館で堂々と芸術作品を鉛筆で自分のキャンバスに描いています。しかし、誰の迷惑にもなっておらず、カメラで写真を撮るといったマナー違反でもないので咎められません。親切には何の絵かわからなかった今日子さんが見ていた「母」というタイトルの絵が「地球」を現していることを教えます。独特の感性で色がついているものは汚いと語り、黒だけで自分の絵を描く剝井陸。

次に来たのが、和久井と名のるお爺さん。「母」の絵を見ると突如として激昂し、持っていた杖で絵を額縁ごと叩き割ります。美術館の館長を「敷島」と呼び捨てにすることから、かなり高い地位にあるようです。結局親切はお爺さんに目の前で絵を割られたことが原因でクビに。しかし、なぜか退職金は割増されていました。

その割増退職金で今日子さんに依頼します。内容はこの「母」の絵を巡る一連の出来事が何だったのか教えて欲しい、というもの。最速の探偵が一連の話を聞いて推理します。答えは、2億円の絵画は額縁込みでこの値段だったというもの。200万円と言った時には、額縁だけ安いものに差し替えられていました。和久井の爺さんは著名な額縁匠で作品に合わせて額縁を作るんですが、勝手に入れ替えて他の作品をもり立てるのに使われて激怒していました。そういうわけで美術館側にも落ち度があるので、親切の退職金が割増されていました。

推定する今日子さん

無職になってプラプラしていたら、和久井の爺さんから電話がかかって来ました。用件は警備の仕事を斡旋する、というもの。警備するのは和久井の爺さんの仕事部屋、ということでそこにいくと名前こそアトリエ荘なんですが、ちゃんとしたマンション。32階建てで爺さんの仕事場は地下1階。爺さんはこのマンションのオーナーで、他の階の入居者は全員家賃タダの芸術家の卵。かつて芸術家を志しながらも諦めて額縁匠として名をなした爺さんですが、額縁は絵あってのものということで芸術に還元する活動の一環として太っ腹なことをしていました。

親切が選ばれたのは、美術館でのやり取りを踏まえて口が固く、それなりに誠実そうだから。破格の条件で警備の仕事が舞い込んで吐きましたが、週6日ずっと仕事場を警備するというのは大変で、しかも1人でやらなければならない。そこで、爺さんにもう一人人員追加を提案します。親切の頭の中にあったのは今日子さん。爺さんが警備してもらってまで仕事に没頭したいという集大成となる作品を仕上げるに当たって、自分以上に口の固いというか1日で忘れてしまう人物。今日子さんに会うためにマンションから出た所で、剝井陸と再開。実は「鑑定する今日子さん」で、勝手に入れ替えられた額縁に気づいて告げ口したのは剝井。

今日子さんに警備の仕事のことを話すも、けんもほろろに断られます。期間が半年と長いため。しかし、お金は魅力的なので探偵という立場から警備の穴になりそうなところを探してくれることに。そうして2人がマンションに戻った時に事件は起こります。地下の仕事場に行くとナイフで刺された和久井の爺さん。とっさに状況を把握して、応急処置を施します。そして飛び出す金田一少年なんかで出てくるあのセリフ「犯人はこの中にいる」。指さしたのは32階建てのマンション。

推薦する今日子さん

救急車で病院に運んだだけで警察を呼んでいないので、病院で治療されてから通報→警察が到着までの猶予で捜査を開始する今日子さん。まずは犯人がマンション内の芸術家の卵の中の誰かである根拠を示します。ナイフは正面から刺されていて、抵抗したあとがありませんでした。死んではいませんが、動けなくなってもダイイングメッセージを残す余裕は有ったにも関わらずそうしていなかったのは、犯人が顔見知りで爺さんは犯人をかばおうとしていたから。

そこで、今日子さんは1件ずつ32階建てのマンションの各部屋を当たって聞きこみをおこなって、犯人を見つけて自首を促そうとします。居留守を使われたり、本当に留守っぽい部屋もありましたが、とにかくすべての部屋を親切と回ります。爺さんが刺されてから捜査開始まで、エレベーターが点検で使えませんでしたが、今は使えるという事で32階まで行って階段で下りながら聞きこみ。18階の階段で血痕らしきものを見つけますが、事件に関係しているかどうかはわかりません。

事件現場に妙なところはありませんでしたが、爺さんが作ろうとしていた作品がキーになりそうな様子。今日子さんが着目したのは発注伝票。発注した材料はどう見ても額縁1つどころではない大量のもの。そして、爺さんは額縁に入れる絵をマンション中の画家の卵たちに依頼していました。しかし、全員に絵を描くように言ったわけではなく剝井少年は外されています。剝井少年もマンション内に犯人がいると言います。根拠は大量の作品を作らせて、どれかから本命を選ぶようなことをしたから。大量生産の粗製乱造は芸術家が最も嫌うもの。その恨みを晴らそうとしたと言います。そしておもむろに「あんたの正体描いてやるよ」といって今日子さんの絵を描き始めます。

全戸訪問を終えてから、そろそろ絵が完成しただろうということで剝井の部屋に向かった今日子さんでしたが30分以上たっても戻って来ません。そのことを不審に思って探しに行った親切が見つけたのは、階段で気を失っている今日子さん。もちろん記憶はリセット。1階に行くと剝井少年と出会う2人。会うのは二回目ですが、初対面のように挨拶する今日子さん。剝井少年は「先生刺したのオレだから」といって警察に自首しに行きます。

と、ここで今日子さんが気を失って記憶が無くなった振りをしていたことを告白。今日子さんはナイフの刺された位置と角度から大人ではなく子供もしくはそれくらい体格の小さい人の犯行であることを最初から見抜いていました。全戸訪問は体の小さい人の目星を付けるためでしたが、該当したのは剝井少年ただひとり。記憶が無くなったふりをしたのは、剝井少年が無理やり自首させられるのではなく、犯行を知っている人は誰もいないという状況にして自分自身の意思で自首して欲しかったから。

動機は勘違い。和久井の爺さんは大量の額縁の材料で巨大なモザイクアートを作ろうとしてました。剝井少年がそのアートに参加できないのは、色を使うのが嫌いで黒い色にしかならないから。

エピローグは、この1件でまたも警備の仕事がパーになってしまった親切に、今日子さんが警備の仕事を依頼してくるシーン。はじめましてと挨拶しつつ警備員として掟上事務所で雇用したいという申し出に対して理由を聞くと、「推薦されたから」という回答。推薦した人物は今日子さん自身。誰か警備を雇いたいと思いたったときに見つかるように置手紙を自分自身に向けて書いていました。「掟上今日子の推薦文、私にとってこれ以上の保障はありません」と言って断ろうとする親切を説得。

相変わらず面白いのは今日子さんの最速っぷりと、それについていけない脇役キャラとのやり取り。2作目は1作目と比べるとちょっと長編小説になっています。どうでもいいところですが、和久井の下の名前は和久(かずひさ)、和久井和久で回文ですね。西尾先生はこういうの好きなのかな、西尾維新もnisioisinですし。親切は次作の挑戦状でも登場しそうですね。

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掟上今日子の推薦文 忘却探偵

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