行き当たりばったりだけど、勢いがあり4巻まで続いたパニックマンガ。読み直してみると、最初のあり得ない設定を活かして、七転八倒する展開の連続がなかなか気持ちいい良作になっています。
あらすじと感想(ネタバレ注意)
私立聖新高校の1クラス、2-Cが惨劇の舞台。担任の下部(しもべ)先生は、しもべ→げぼく、ということで生徒たちから下僕と呼ばれて、クラスは完全に崩壊して、上からは成績が下がっていることを責められていました。
ある日、下部から視聴覚室に呼び出された生徒たちは、大音量と意味不明な画面を見て意識を失い、目覚めると全員に催眠術をかけられた後でした。ある条件を満たすと自分の意志とは無関係に自殺する自殺催眠を生徒たちにかけたと話します。
下部に食って掛かった生徒が「暴力を振るう」という条件を満たして、壁に頭をめり込ませて最初に自殺。電話で助けを求めた生徒は「クラスメイト以外に、ここで起きたことを伝える」という条件を満たして、舌を噛み切って自殺。
下部は「自殺の条件は100個ある」「クラスメイト全員の死を見届けると催眠が解ける」というゲームのルールを告げて、地獄で待っていると最後の言葉を残してその場で飛び降り自殺します。あらゆる自由を奪われて、恐怖に震える地獄が開幕します。
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停学中でただ1人催眠術にかかっていない榊がキーマンとして登場します。榊に対抗心を燃やすのが、榊が転校してくるまで勉強・スポーツ・ケンカのすべてでナンバーワンだった和田。
催眠にかかって4時間後、100個の自殺合図とは別に、18時半のチャイムを聞くと幻の下部がボーナスタイムを告げるために現れます。19時までの30分の間にクラスメイト4人の死を目撃すれば、自殺催眠から開放するという下部。そのボーナスタイムに、隠し撮りカメラの映像を独り占めして33個の合図を知る和田が、合図に誘導してクラスメイトを殺し始めます。榊と朝日奈のファインプレーで死んだのが3人で済みます。
隠し撮りカメラを手に入れて全員が33個の合図を共有しますが、映像の中でクラスメイトの中に下部の仲間がいることが明らかになります。20時から次のボーナスタイムが始まり、隠された封筒に入っているカードの指令を指名した人に実行させて、合図を当てればクリアというゲームが始まります。このボーナスタイムの首謀者にして下部の仲間だったのが朝日奈。いじめられていた朝日奈は、自分がやられたいじめと同じ目にあった人だけが助かるゲームを仕組んでいました。朝日奈の策略を榊が破ってゲームクリア目前に見えましたが、朝日奈が最後に仕組んだ罠でクリアならず。
ボーナスタイムの次は、教師たちによる生徒の虐殺が始まります。教師たちは家族に自殺催眠を仕込まれて人質を取られていました。榊を除く生徒たちは、暴力を使えないので逃げることしかできません。さらに学校の敷地の外にもでれないので、無理ゲー感が漂います。ここでも榊と催眠にかかっていない朝日奈が活躍して、クラスメイトの何人かが死にますが、窮地を乗り切ります。
下部による最後のボーナスタイムは「榊を殺せば催眠が解ける」というシンプルなもの。このボーナスの途中で、下部の本当の仲間だった小宮山が正体を現します。小宮山がピアノを奏でると、全員が気を失います。
意識が戻るとピアノ側の椅子に座って死んでいる小宮山と、最後のゲームのルールが書かれた黒板がありました。この時点で生き残った全員の背中に3つの合図が書かれ、1時間後に生き残っている人の合図が全員のものとなる、という奇妙なゲーム。ひとつでも自殺合図を減らすべく、殺し合いが始まります。
最も危険な合図を持っているのが樫村でした。「太陽の光を浴びる」という合図があるため、全員から狙われます。ここに至って榊はエゴ丸出しで、クラスメイトを殺し始めます。榊が守りたいのは樫村ひとりだけでした。その榊も羽柴と刺し違えて死にます。樫村は和田から自分の背中に書かれた合図を教えられますが、たったひとり生き残って太陽の光を浴びても死にません。
実は樫村の自殺催眠はずっと前に解けていました。解催眠の条件は、「下部に謝ること」。自分を生き残らせるために榊が皆に手をかけたことも、最後に自分の手で和田を殺したことも無駄だったことを知って、叫び声を上げる樫村。
凄惨な事件のたった一人の生き残りである樫村が、自分が生き残った使命を果たすために高校教師となり、自分の受け持ったクラスが2-Cと同じように崩壊して絶望。下部の残したビデオを手に取り、生徒たちに催眠を仕込もうとするところで終わります。
本当に行き当たりばったりで、次々に死のルールを追加していくんですが、いいように作用して毎回見せ場を作れたのが勝因でしょうか。あらすじを読むとチープなマンガっぽいですが、息もつかせぬ展開が面白いです。
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