かつて神だった獣たちへ / めいびい(1)(2)、戦争を終わらせた神の力を狩る男の戦い

「結婚指輪物語」のめいびい先生が描くダークファンタジー。ギャグ要素一切なしのシリアスなバトル漫画です。

舞台となる世界は、大きな戦争が集結した後。その戦争を終わらせたのは「擬神兵」と呼ばれる異形の兵士たちでした。劣勢になった勢力が禁忌の技術に手を染めることで生み出される神にも喩えられる力を持つ兵士たち。その姿はまさしく神話の世界の化物で、人間の姿を捨てています。

戦争が終わった後、英雄だった彼らの持つ大きな力は恐れられ「獣」と呼ばれています。

超簡単なキャラクター紹介

キャラ名	説明
ナンシー・シャール・バンクロフト	擬神兵だった父を持つ少女
ハンク	「獣狩り」と呼ばれる擬神兵を狩る男
エレイン	擬神兵を生み出した技術者
ケイン・マッドハウス	擬神兵を「獣」として世に解き放った男

1巻と2巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

ナンシーは「獣狩り」と呼ばれるかつて擬神兵だった人たちを殺す人物を追っていました。獣狩りは父の仇。酒場で見つけた男を銃で撃ちますが、傷ひとつ追わせることが出来ずその男に連れ去られます。獣狩りはハンクと名乗る男で、その町の擬神兵を狩りに来ていました。ハンクの様子を観察するナンシー。

ハンクがその町で働いているダニーという擬神兵に話しかけます。ハンクを隊長と呼ぶダニー。自らの故郷で役に立つために積荷を乗せた馬車を襲っていたダニーを始末するハンク。「俺達の約束、心を無くした者を仲間の手で葬る」と話すハンクに「みんなのためにこの姿になった、受け入れるためなら人も殺す」と返すダニー。巨大なスプリガンの正体を明らかにしたダニーを倒すハンク、最後まで人間の姿に見えましたが髪の色が銀色に。ハンクもまた擬神兵でした。

ハンクがどうして仲間を殺そうとしているのか見極めようとするナンシーは、ハンクの旅についてくことに。次なる町にいた擬神兵はミノタウロスのセオ。巨大な砦を建造して、住民を恐れさせています。セオとの戦いで明らかになるハンクの力。ハンクは夜の間だけ力を発揮するウェアウルフ。

1巻の後半から大きくストーリーが進んでいきます。ハンクが追うのはケイン・マッドハウスという男、擬神兵を「獣」として世に解き放った人物です。

擬神兵の力で戦況をひっくり返して、戦争が終了間際となった時、擬神兵を生み出したエレインは、「平和な時代に擬神兵の居場所はない」ということでハンクを撃ちます。その銃弾は擬神兵の力を無効化して殺す力を持つもの。エレインから話を聞かされて従うふりをしていたケインが、部下を殺そうと銃弾を受け取った時に裏切り、エレインにその玉を撃ち込みます。戦争が無くなり解き放たれた擬神兵たち。その異形は人々に受け入れられるものではありませんでした。かくして擬神兵だったものは獣と呼ばれて恐れられるように。

そんなケインがいる町に来たハンクとナンシー。先鋒としてハンクに襲いかかるガーゴイル、石の体を持つ悪魔の姿をした擬神兵です。かつて正義感の塊だったトーファーはガーゴイルとなった後、悪事を働く人を問答無用で殺す獣とかしていました。ナンシーの手助けもあり、トーファーを退けます。そしてハンクに接触してくるケイン。

どう見ても人間の姿に見えるケインはヴァンパイアの擬神兵。銃弾で顔を吹き飛ばされようが、直ちに再生する力を持ちます。そのケインの誘いに乗ってある屋敷に行くと、そこでは大量の獣による人間の虐殺が行われていました。ハンクはウェアウルフとしての力を解放、他の獣を圧倒する巨大な狼の姿を現します。

ざっくりとしたあらすじですが、すべての擬神兵に人間だった頃まで含めた詳細な設定があって、話がすごく練られています。絵も迫力があって読み応え十分。基本はハンクとケインの戦いなんでしょうけど、2人とも夜に不死身の力を発揮するとあって決着が付かなさそうですが、そこでナンシーの出番かな。